聖号十念

日に日に夕暮れも長くなり、秋の気配がほの見えてまいりました。

先月のブログを掲載してよりの一月、急転直下の状況の中、当山としても来月の彼岸法要をどうするべきかの判断に苦慮し、様々な数字に心が揺れ動いた時期となりました。

華々しい功績や、着実な進捗を示す数字もあれば、近くに見えていた希望を折るような数字も日々報道されています。

また、世の中には無数の立場や事情があり、全世界の皆様が複雑な状況で各々行動を決めつつ日々を送っておられます。自分の抱える事情と正反対の行動をする人を見て、批判したくなるのも無理はないことです。「人の心は揺れ動きやすいものである」というのは仏教の真理の一つです。

私は僧侶として、様々な理不尽に苦しむ方々に寄り添うのが役目ですので、個別のお話には逐一対応させていただいております。ですが、インターネットという誰でも閲覧できるとなると状況が変わってまいります。現在どのようなお話をしても、どなたかの気持ちを傷つける結果になるように思えました。報道にまつわる様々なネット上の言葉に心を乱される方もおられるのではないでしょうか。

「言葉を使わずとも何かできないだろうか」と考え、今月は皆様に自作の仏画をお贈りさせていただこうと思い至りました。

拙い絵で恐縮ですが、「他人への思いやりの心=慈悲」を表す「観音菩薩像」を描かせていただきました。

当山本堂の観音様は両手で蓮台(極楽浄土で過ごす魂の足元に咲く蓮の花)を持つ姿勢ですが、「少しでも状況が良くなることを祈念する気持ち」を込めて合掌の姿勢をとっていただいております。

お心がつらいとき、観音様が極楽よりお出ましになり、皆様の心に寄り添ってくださいますよう、ご祈念しております。合掌

南無大慈大悲観世音菩薩