聖号十念

一気に日差しが夏色となって参りました。

本日はとある下手くそな写真からご笑覧いただきます。

「紙袋に入ったまま」「床やらリュックやらが見えている」という残念さですが、撮影時に疲労の極致でしたので余り頭が回っておりませんでした。

この花束は、6月3日に行われた「第47回関東ブロック浄土宗青年会総会並びに研修会」終了後に頂いたものです。昨年末、事情により急遽私が事務局長の代打を申しつかりました。例年ならば、全国からの来賓含め数百名が集まるかなり大きな研修会で、2年前から実行委員会で準備を進めてきた行事です。災禍のため1年延期され、来場者を絞ってオンラインとの併催という形で遺漏なきよう工夫してきました。ところが東京都の状況がどんどん悪化し、全国からの来賓の中止、関東圏からの参加も中止、東京都からの参加も中止され、最終的には最低限のスタッフ以外全てオンラインとなりました。仕様変更に次ぐ仕様変更のため日々問題が山積し、人員配置や物資調達の変更に加え動線分離、ハウリングやノイズとの闘いなど、スタッフ総出で連日深夜まで調整が続きました。何とか大過なく後片付けが終わった後、実行委員会のサプライズで上掲の花束をいただき、思わずホロリと来てしまった次第です。

準備期間は気の休まる暇がありませんでしたが、同時に多くの学びがありました。「変更指示の連続で永久に終わりがないように見えるけれど、きっと日本全国で、同じように大変な思いをしながら自分の役割を果たしている方々がいるだろう。やるべきことに集中せねば」と気を取り直すことができました。「長い間頑張って準備してきたことがダメになってしまう」という悲しみや落胆を抱えつつ、「どうやったら安全に開催できるのか」と知恵を絞る方々にも励まされました。また、安定した通信環境や、様々なデジタルツールによる技術革新のおかげで、全国の参加者に先生方の講義をお伝えすることができました。新たな共感と感謝という貴重な経験をさせていただきました。

6月末には全ての事務作業も終わり、時間にゆとりはできたのですが、何故か心身の不調が続きました。原因を探ってみたところ「ネットニュースの読みすぎ」であることに気が付きました。彼岸法要の準備のため、毎日首相官邸ワクチン接種回数や重症者数等をチェックしていると、自ずから他のニュースも目に留まります。時間にゆとりができた分、ニュースのコメントにも目を通したのが悪手でした。悪いニュースのコメント欄には攻撃的で上から目線の「〇〇すべき論」が多く、読み続けているとまるで自分が責められているような気分になり、精神的に参ってしまっていたのです。対策として、ニュースは事実確認のみに留め、罵詈雑言を避けて良い文化や作品を鑑賞するようにしたところ、ブログを書けるようになるまで元気が戻ってきました。

研修会でお世話になったのもインターネット、へこんだのもインターネット、このブログもインターネットです。「ネットとハサミは使いよう」ですね。

俗に「修羅の道」などと言いますが、「修羅道」は仏教用語の一つで、「人々が永遠に争い続ける世界」です。死後に修羅道で苦しむ方を救いたいと望まれたのが阿弥陀様という仏様ですので、心からの祈りは全てお汲み取りくださいますが、死後のみならずこの世においても修羅道のような状況はあります。生きる上でどうしても戦わねばならない局面もあるかもしれませんが、ずっと争いの渦の中にいると疲弊してしまいます。日本でも神仏のみならず、様々な形で心や気持ちを楽にする試みが数多くあります。私の場合は様々な作品や、背後にいる作り手の方々に救われました。

まだ100%安心安全とは言えない世の中ですが、皆様方が少しでも「お気楽極楽」「ゆったりのんびり」「心安らかに」過ごせる時間が増えますよう、ご祈念を続けて参ります。合掌

如来大慈悲 哀愍護念 南無阿弥陀仏