10月30日~31日の2日間、東京浄青主催の「教団見学会」が行われました。
「教団見学会」とは、他宗派の教義や寺社仏閣に触れることで、浄土宗の宗門への理解を
深めることを目的にした研修旅行です。
本年は、大分県の六郷満山・臼杵大仏方面への旅程となりました。
六郷満山は、来年開創1300年の長い歴史を誇る天台修験と八幡信仰の結びついた場で、
国東半島一帯の山岳地帯に多くの寺社が美しいたたずまいを見せておられます。
初めにお参りさせて頂きましたのは、天台宗・両子寺様。東京浄青会長と同期の副住職と共に
しばしお勤めをさせて頂きました後、六郷満山の歴史や、近年の過疎化によって地方の寺院が
危機に陥っていること、現在は観光寺として多くの方にお参り頂いていることなどをお聞かせいただきました。
続いて、国宝に指定される堂宇をお持ちの富貴寺様にお参りし、国宝に指定されるほどの文化を持つ
お堂が、同時に子供の遊び場として開放されていたという心温まる歴史についてお伺いいたしました。
真木大堂では、平安時代以来の大きな仏像を拝観し、独特の大きな頭部に肉付きの良い体格を持つ
仏像の迫力を感じることができました。
旅程で最も体力的に厳しかったのが熊野摩崖仏です。山岳の岩に彫り込まれた巨大な仏様のお顔を
拝見する為、当時の方が手で積まれたであろう石段を上がっていくのですが、不揃いで苔むした石の間に
靴先をこじ入れこじ入れ登るのに難儀致しました。修験者の方々の脚力に頭が下がります。
宇佐神宮にも初めてお参り致しましたが、スケールの大きさと境内の美しさに圧倒されました。
往年の神宮と朝廷の結びつきの強さがうかがい知れる華やかさでした。
2日目は別府ロープウェイより鶴見岳山頂を踏破、別府温泉一帯の素晴らしい眺望を望み、
その後臼杵石仏群を拝観致しました。
自然の岩盤に掘られている点は熊野の摩崖仏と同じですが、岩質が柔らかい分多彩な表現が可能になり、
結果様々な年齢をモデルとしたのお釈迦様のお姿を拝見することができました。
今回の旅行を通じ、迫力のある中に温かみや茶目っ気のある仏様の表情や、
東京と地方の寺院の様々な違いを目にいたしました。
また、研修のみならず、懇親会を通じて多くの方々のお話を聞くことができ、実り多い二日間となりました。
同じ「悟り」という山の頂上を目指す私たち僧侶ですが、頂上を目指すルートは宗派によって違い、
私たち一人ひとりによってもまた違うものではありますが、今後もお互いの違いを尊重しつつ
ともに極楽浄土での悟りを目指してゆきたいものです。
寺務の中、貴重な機会を頂きましたことを皆様に感謝いたしております。
合掌