去る平成三十年九月二十三日、松光寺本堂におきまして、恒例の彼岸会法要を厳修致しました。連日の雨続きでございましたが、幸い当日は汗ばむほどの好天でございました。

初めに、前回の春彼岸会に先立つ責任役員会においてご承認いただいた住職継承につきまして、宗門からも拝命を賜り、公の登記等書類につきましても滞りなく継承が成りましたことをご報告いたします。まだまだ経験不足の身ではございますが、皆様にご信頼をいただけますよう今後も精進していく所存です。

先住職も復調し、今回は元気な声でお勤めをさせていただくことができました。これも偏に我が事のように心配してくださった方々の暖かいお志の賜物と受け止めております。ありがとうございました。

また本年は、先住職の東京大学医学部時代の同窓生、東京女子大学名誉教授の寺岡慧先生より、「臓器移植と宗教」と題しご講義を賜りました。

寺岡先生曰く、私たち一人一人は無数のご先祖様から遺伝子を受け継ぎ、多くの命や物質に支えられたかけがえのない存在だそうです。

日本では欧米に比べて臓器提供の件数が少ないのですが、臓器移植によって難病から救われる方がおられます。未来には臓器移植不要の技術が開発される見込みもありますが、まだ普及はしていません。

様々な立場の方々が、お互いの心や気持ちの違いを大切にすることが、今後の医療にとっても重要なことですが、一人でも多くの方を助けたい、と熱意をもってお話しいただきました。

続きまして、僧侶としての私の所感を述べさせていただきました。

仏教において「見返りがなくとも、何かをさせていただくこと」は「布施」と呼ばれ、悟りへ至る大きな修行の一つです。病に苦しむ患者さんやご家族により良い人生を送っていただくことは、大きな功徳と申せましょう。

浄土宗においても、「どの時点が『いのちの始まり・終わり』なのか」について様々な論議がございます。

まだ弱輩の私にとって、家族の命の終わりやその後について考えるのは正直恐ろしいことでもありますが、阿弥陀様のお見守りのもと、自らの心と向かい合って行きたいと感じました。

つたない文章ではございますが、以上をもちまして本年秋彼岸会のご報告に代えさせていただきます。

皆様と阿弥陀様とのご仏縁を心よりご祈念申し上げます
合掌