徐々に秋も深まってまいりました。台風19号の被災地に有縁の方々におかれましては、心よりお見舞いを申し上げます。

さて、去る令和元年九月二十三日、松光寺本堂におきまして、恒例の彼岸会法要を厳修いたしました。おかげさまで先住職の回復も進み、声を合わせてのお勤めとなりました。

ご法要の後、国際医療福祉大学三田病院・救急部長、並びに同大学准教授の志賀隆先生より、「応急処置の常識と非常識?」と題し、ご講義を賜りました。

現場からの最新の知識を、かいつまんでご紹介いたします。

【鼻血の止め方】

  • まずは小鼻(鼻の外側のふくらみ)を親指と人差し指で強く押さえます。(硬いところを押さえるのは誤り)
  • 椅子に座り、軽くお辞儀する姿勢で安静にしましょう。(上を向くと血が胃に流れ、気持ち悪くなることがあります)
  • 5~10分程度様子を見ます。指をはずして確認したくなるのが人情ですが、血を固めるためにこらえましょう。
  • それでも止まらないときは、ティッシュや綿を鼻に詰め、もう一度1~3を行ってください。

※首の後ろを空手チョップでトントン叩くのは、今は行われないとのことです。

【すり傷・やけどの処置】

・現在は、消毒薬(イソジン・マキロン)よりも、水道水や生理食塩水で洗う方が良いとされています。

・やけどの場合、氷などで冷やすと凍傷の恐れがあるので、やはり水道水で冷やしましょう。

・洗ったあとは、ワセリンや軟膏を塗り、湿った状態を保つと治りが早くなります。

※痛みがひどい、傷の範囲が広いとき、迷ったときは医療機関へお越しください。

【自宅で家族が倒れ、反応や呼吸がない】

  • まずは119番。住所や状況を伝えましょう。
  • 人工呼吸より、胸部圧迫を優先して行います。両腕を突っ張り、両掌を重ねます。鎖骨の中央のくぼみと、みぞおちの間の辺りを、アンパンマンの歌と同じくらいのリズム(100~120回/分)で圧迫します。(胸の骨に負担がかかりますが、救命が優先です)
  • 感染防止の人工呼吸器具が手元にある場合は、それを使って人工呼吸を行います。胸部圧迫15回につき、人工呼吸2回の割合が適当です。
  • 協力してくれる人がいる場合は、「〇〇さん、119番お願いします」など、はっきり名指しでお手伝いをお願いしましょう。
  • けいれんや失神などの場合は、前後の状況(症状、様子、時間、ケガなど)を把握してください。
  • 傷がある場合、流水で洗浄していただけると手当ての手順が早まります。

【救急車はどんな時に呼んでほしい?】

・痛みがひどく、歩くことができないとき。

・心肺停止、喘息発作、呼吸困難、食物アレルギー、気道閉塞、失神、けいれん、高いところからの転落、意識障害、体の変形のいずれかがみられるとき。

【日ごろからできる心がけは?】

・病院のスタッフはご家族への連絡の為、手を尽くします。日ごろお付き合いのある方に、勤務先をお知らせしてくださると助かります。

・患者さんのアレルギー、日ごろ飲んでいる薬、今までかかった病気、妊娠の有無、最後にいつ食事をしたか、どのような環境で生活されてきたか、などを説明していただけると治療の助けになります。

「地域のみなさまのお役に立てるよう、これからも尽力します」という温かいお言葉でご講義をしめくくられました。

私も6年前、貧血のため駅構内で昏倒したことがあり、その節は通りすがりのお医者様と、救急スタッフの方々に大変お世話になりました。今回のご講義を通じ、医療界の皆様の日頃のご研究、ご研鑽の賜物をお示しいただき感謝しております。

ご法要の最後に出席者で声を合わせ、檀信徒各家先祖代々を初め、全ての方々に気持ちを手向けて、「南無阿弥陀仏」のお念仏をお唱えいたしました。

一刻も早い復旧作業がもたらされ、皆様が心身ともに安楽にお過ごしいただけますよう、心よりご祈念申し上げます。合掌