秋雨と秋晴れが交互に訪れる昨今でございますが、先日買い物の際、お花屋さんでこのような展示を見かけました。

「ダリア特集」とのことです。色鮮やなお花を見ると気持ちが明るくなりますね。ダリアは見た目が牡丹に似ていることから「テンジクボタン」とも呼ばれ、また「キク科ダリア属」ですので、仏花でなじみ深い菊の仲間でもあります。本堂のご法要にもお花をお供えいただきますが、昨今は選べるお花の種類が増えたため、色とりどりの様々な花束を拝見する機会を頂いています。花店の方々の工夫やセンスがとても素敵で、私も頑張ろうという心持ちになります。

モダンな花店で見かけた仏花

浄土宗ではお供えするお花に特に決まりはございませんので、亡き方がお好きだったお花をお勧めしているのですが、長年親しまれてきた菊の花にも優れた点がございます。花粉が出ないため、墓石やお召し物に色がついてしまうことがないこと。また、花には「良い香りで悪い臭いを遠ざけることによる魔よけ」という意味がございますので、香り高く長持ちする菊は、その分魔よけの効果も長く続くことになります。生花の手に入りにくかった時代から、先人の試行錯誤を経ておなじみの仏花の姿になったのかもしれません。

さて、この「仏花」に加え「お香」と「灯」の3つを仏教では「三具足(みつぐそく)」と呼びます。「お香」にも「良い香りで悪いものを祓う」役割があり、「灯」には「仏様のご加護や導きを願う」という意味があります。「具足」とはヨロイカブトのことも指しますが、そもそもは「充分に満ち足りていること」という意味です。ヨロイカブトの場合は「身を守るに十分な装備」という意味になるわけです。そのような由来から、昔ながらのお仏壇にはご本尊やご位牌のほか、三具足が備え付けられています。お寺の本堂など施設が大きい場合は、お花と灯を二つずつお供えし、「五具足(ごぐそく)」と呼びます。仏様へのお供え道具の目安です。

しかしながら、場合により三つ全てが揃わない場合もございます。「お仏壇を置く広い場所がない」「火事が怖いのでロウソクをLEDにしたいけれど大丈夫ですか」「急に家族をなくし、どうしたらいいかわからない」などのご相談も多々ございます。また、浄土宗でご納骨法要を墓前で行う際はロウソクはお供えいたしません(おそらく風で消えてしまったり、お召し物に危険が及ぶからと存じます)。私が幼かった頃、金魚や小鳥を葬った時、子供の力では野花を集めるのが精一杯でした。

ですが、そんな皆様のお気持ちやご事情に寄り添いつつ、辛い心を救いたい、力になりたいと思っておられるのが阿弥陀様という仏様です。皆様が心を込めて「南無阿弥陀仏」とおとなえくだされば、阿弥陀様は量り知れないほどの光とともに皆様を照らされ、亡き方々を極楽浄土へ導いてくださいます。

阿弥陀様の光に照らされ、皆様が一日でも多く健やかな日々を過ごされますよう、ご祈念いたしております。合掌

如来大慈悲 哀愍護念 南無阿弥陀仏